2025年6月28日に開催された「Bluesky Meetup in Osaka 2025」のアイデアソンで総合1位を獲得したアイデアをご紹介します。このアイデアは Hirofumi Ukawa(@ukawa.bsky.social)さんが発案したもので、Blueskyの設計思想を活かした、興味深いコミュニティ形成の提案です。

アイデアの核心:ドメインを個人識別からコミュニティ識別へ

Blueskyでは、独自ドメインをハンドルネームとして使用できることは皆さんご存知でしょう。このアイデアは、その機能を「個人の識別」だけでなく、**「コミュニティの形成」**に活用しようというものです。

具体例

たとえば、「ブルスコ写真部」というコミュニティが @bskyphoto.blue というドメインを取得します。そのコミュニティに賛同する人たちは、以下のようなハンドルネームを使えるようになります:

  • john@bskyphoto.blue

  • tommy@bskyphoto.blue

  • sarah@bskyphoto.blue

サブドメイン案:参入障壁を下げる

独自ドメインの取得が難しい場合は、Blueskyの公式ドメインにサブドメインを設ける方式も提案されています:

  • john@bskyphoto.bsky.social

  • mike@bookclub.bsky.social

  • lisa@running.bsky.social

この方式なら、コストや技術的ハードルを大幅に下げられます。

なぜこのアイデアが画期的なのか

1. 興味に基づく「人格の使い分け」

近代西洋的な「唯一のアイデンティティ」という考え方に縛られず、私たちが持つ多様な側面を自然に表現できます。

  • 仕事用:yourname@company.domain

  • 写真趣味:yourname@bskyphoto.bsky.social

  • 地域活動:yourname@osaka-community.bsky.social

同一人物でも、文脈によって適切な顔を使い分けることができるのです。

2. 有益なフィルターバブルの構築

「フィルターバブル」は通常ネガティブに語られますが、このシステムでは意図的に選択したコミュニティの中で形成されるため、むしろポジティブに機能します。

写真部のドメインを使っている人同士なら、最初から共通の興味があることが分かります。交流の質が自然と高まるでしょう。

3. discoexistence(不和共存)の緩和

SNSでは、政治的立場や価値観の違いから対立が生まれがちです。しかし、興味別にコミュニティが分散していれば、不要な衝突を避けながら、建設的な対話に集中できます。

実装への道筋

フェーズ1:サブドメイン方式でスタート

まずは @community.bsky.social のような形式で、技術的ハードルの低いプロトタイプを作ります。

メリット:

  • 低コスト

  • 既存技術で実装可能

  • ユーザーの反応を見ながら改善できる

フェーズ2:独自ドメイン対応へ

コミュニティが成熟したら、独自ドメインの取得をサポート。完全な分散型コミュニティへと進化します。

メリット:

  • コミュニティの独立性

  • ブランディングの自由度

  • より強い帰属意識

このアイデアが目指す未来

従来のSNSは、「一人一アカウント」を前提に、すべての人間関係を一つのタイムラインに押し込めてきました。その結果、仕事の同僚と趣味の仲間、家族と友人、すべてが混在する息苦しい空間になりがちでした。

このアイデアは、人間の多面性を肯定し、興味に応じて自然に交流を「分散」させることで、より心地よいソーシャル体験を実現しようとしています。

西洋近代的な「唯一無二のアイデンティティ」ではなく、東洋的な「状況に応じた多様な顔」を持つことを肯定する。それがこのアイデアの本質なのかもしれません。


一言でまとめるなら: 「ドメインでコミュニティを作り、人は興味ごとに複数の顔を持つことで、分散的かつ心地よい交流圏を実現する」

Blueskyの分散型という設計思想を、技術レベルだけでなく、コミュニティレベルでも実現する。そんな可能性を感じさせる、素晴らしいアイデアでした。


この記事は Bluesky Meetup in Osaka 2025 アイデアソンで Hirofumi Ukawa(@ukawa.bsky.social)さんが発案し、総合1位を獲得したアイデアに基づいています。