なぜ新しいプロトコルが必要なのか
HTTPやメール等の既存プロトコルがあるのに、なぜATProtoを新たに作る必要があるのか?
答えは「ソーシャルグラフの囚人化」からの脱却にある。ウェブはソーシャルグラフの時代に移行したが、フォロー関係は各サービスに囚われたまま。HTTPは文書を運ぶが著者の恒久的アイデンティティは保証しない。メールアドレスはサーバー依存だ。
ATProtoは以下の3つを提供する:
自己主権的アイデンティティ(DID)
可搬性のあるソーシャルグラフ
コンテンツアドレッシング
つまり「Xを辞めてもフォロワーを連れていける」インフラ。ソーシャルレイヤーでのポータビリティこそ、既存プロトコルにない新たな必要性だ。
ATPの普及には何が必要か
理念より実利。HTTPのように「気づいたら使ってた」を目指すべきだ。
Bluesky PBCがやるべきこと
キラーユースケースの実証: 学術/クリエイター/公共領域など特化型アプリを本気で育てる
インフラの見えない化: PDSホスティングのマネージド化、AppView自動切り替え
経済圏の確立: Labeler/PDS/AppViewの収益モデル整備。WordPress的エコシステム戦略へ
相互運用の推進: Threads/Mastodonとの接続強化
草の根エンジニアができること
代替AppViewを作る/使う: 特化型の「これがないと困る」体験を生む
Labelerを運営する: モデレーション市場の実証
有料サービスに課金: 持続可能性への投資
「分散=無料」幻想を捨てる: 経済合理性ある設計を支持
Bluesky PBCに1年後の未来はあるか
現状、Bluesky PBCはUI改良とプロトコル実装に注力している。しかしこれだけでは「よくできたTwitterクローン」で終わる。
1年後に必要なもの
bsky.app以外の成功事例(学術SNS、クリエイター特化等)
経済的持続性の実証(Labeler/PDS事業者の登場)
相互運用の拡大(Threads/Mastodon連携)
このままだと
エコシステムは育たない
Bluesky PBCがコスト疲弊
「人が少ないSNS」で終わる
ATPは普及しなかったプロトコルとして記憶される
UI改良は必要だが十分ではない。1年後の未来は、bsky.appの外で作られる。草の根が勝手に実験するしかない。