Fediverseコア開発者との対話から見えた構造問題:
寄付モデルは機能せず、専門的貢献者すら生活できない。インフラコストは実在するが、オープンプロトコルでは機能の囲い込みができず、無料プロバイダーとの競争に勝てない。
現実的選択肢は3つしかない:
完全分散・寄付依存 → 開発者困窮と緩慢な崩壊
中央インフラ+オープンプロトコル → 実質的中央集権化
公的助成・自治体運営 → 政治的従属リスク
Bluesky/ATプロトコルも同じジレンマに直面する。PDS連合の理想と、Relay集約の現実。「公正な競争環境」は構造的に維持困難で、ネットワーク効果により最大プロバイダーが事実上の標準になる。
日本独自ネットワークなら、選択肢2と3の組み合わせが現実的: Bluesky Socialインフラに依存しつつ、日本語圏特化サービス(企業連合/自治体連携)を構築し、文化的差異で差別化する。
これは理念の敗北ではなく、現実との和解。問いは「どう支配を避けるか」ではなく「誰による、どのような質の支配を許容するか」。Public Benefit Corporation構造の維持、コミュニティ参加、フォーク可能性の技術的保証——これらが最後の砦となる。
追記)
ATプロトコルのマネタイズ構造分析
Fediverseコア開発者との対話で判明: オープンネットワークは経済的持続性と構造的に矛盾する。
ATプロトコルのレイヤー別マネタイズ可能性:
ユニットA(統合型: Bluesky Social) PDS+クライアント+Relay/AppView → ✅収益化容易 サブスク・カスタムドメイン・広告で囲い込み可能
ユニットB(インフラ層: 独立Relay/AppView) Relay単体 → ❌最困難 リソース集約的だが顧客不在。上流(PDS)と下流(AppView)に挟まれ収益源なし。価値があるのにマネタイズ不可能な中間層ジレンマ。
ユニットC(データ層: 独立PDS) PDS単体 → △限定的 企業・コミュニティ向けニッチ市場のみ。10アカウント制限でスケール不可。
結論: 分散設計なのに経済インセンティブは中央集権に集中。Relay独立運営は慈善事業化。mixiモデル(別事業で支える)も機能しない。日本独自ネットワークはユニットAとして参入するか、ユニットCでニッチを狙うかの二択。ユニットBは避けるべき。
オープンネットワークの理想と経済現実の和解点は、まだ見つかっていない。
追記2)
ATプロトコルの経済構造分析: ユニットA/B/Cという区分は非現実的。実在するのは旗艦(A)と衛星PDS(C)のみ。
独立Relay(B)は理論上可能だが経済的に持続不可能。水道局と違い、独占不可・顧客不在・代替容易。オープンプロトコルは意図的に独占を破壊するため、インフラ層の収益化が構造的に不可能。
結果: 「分散」を謳いつつ、旗艦+衛星の二層モデルに収束。Bluesky Socialの支配は不可避。問題は支配の質のみ。