昔々、森に大きな変化が訪れようとしていました。新しい森の長が選ばれ、これからの方針を説明する集会が開かれることになりました。

前の長であるフクロウは、とても知識が豊かで慎重でした。集会では、こう話しました。

「我々を取り巻く環境は、複数の要因が絡み合っており、その歴史的経緯を鑑みるに、また諸般の事情を総合的に勘案すれば、慎重かつ段階的なアプローチが求められる局面にあると言えるでしょう。ただし、これには留保条件があり...」

森の動物たちは、フクロウが賢いことは知っていました。でも、集会が終わった後、若いリスが友達に言いました。

「ねえ、結局フクロウさんは何をしたいって言ってたの?」

すると年老いたクマが言いました。「お前が若すぎて理解できないだけだ。フクロウ様の知恵は深いのだ」

しかし、中年のキツネがそっと言いました。「私も実は、よく分からなかったんだ」

新しい長であるタカは、違う話し方をしました。

「この冬、食べ物が足りません。だから、まず北の丘に貯蔵庫を作ります。来月から始めます。みんなで協力しましょう」

集会の後、同じ若いリスが言いました。「タカさんの話は分かりやすかった!」

すると年老いたクマが言いました。「それは、お前に合わせて簡単にしているだけだ。物事はもっと複雑なのだ」

でも、中年のキツネが静かに言いました。「私には、両方とも価値があるように思えるよ。フクロウは慎重で、タカは明快だ。でも、もし森の仲間みんなに届かない言葉なら、それは誰のための言葉だろう?」

若いウサギがこの話を聞いて、こう尋ねました。

「じゃあ、僕が『分からない』って言ったら、それは僕がバカだからなの? それとも説明の仕方の問題なの?」

賢いフクロウが答えました。

「その問いこそが、一番大切なのかもしれんのう」