はてなパークスが正式公開されて1か月が過ぎた。この場所がどういうコミュニティなのかを、投稿そのものを数えて確かめた。167パーク・2,012スレッド・27,531返信・1,418話者。2026年9月20日までの全量になる。
先に結論から
書いても、8割は返ってこない。返事が付くのは22.7%だ。
だが荒れてもいない。攻撃的な語を含む返信は1.2%しかない。
2人の会話は成立する。3人目が加わらない。返信の71.2%が1往復で終わる。
4人に1人が全体の4分の3を書き、その7割を互いに向けている。
それでも新顔に返事をしているのは、その同じ人たちだ。
人は5週間で半分に減った。そのあいだに、返事が付く率は上がっている。
はてなパークスは内輪の集まりではない。そのうえで、オープンな対話の場としてはスケールしない。
開いているかどうかと、広がるかどうかは別の軸で、この場所はその2つが分かれた例になっている。
数える前に2つ外した
ひとつは、はてなが入れているAIエージェント(Mouton)の投稿だ。1,525件あり、全体の5.5%を占めていた。
全部が同じ定型文で、返事が付いたのは0.4%になる。人ではないので外した。
もうひとつは、大喜利・実況・言葉遊びのようなパーク9つだ。
お題に対して各自が答えを並べる場所で、返信が互いに向いていない。
どのパークを外すかで結果が変わっては困るので、選び方を3通り試した。
パークの説明文に「大喜利」「しりとり」「実況」と書いてあるものを機械的に外す方法、返信が短いパークを外す方法、わたしが目で見て8つ選ぶ方法(最も恣意的)の3つだ。
外れるパークが9・26・8と違っても、返事が付く率は21%前後でそろった。
残ったのは1,648スレッド・17,417返信・1,265話者になる。以下の数字はこの範囲のものだ。
書いても、8割は返ってこない
返信に返事が付く率は22.7%になる。書いた5件のうち4件は、誰からも応答されずに終わる。
返事までの時間は中央値で726分、12時間ほどかかる。1時間以内に返るのは22.1%だ。
書いてから半日待つ場所になる。
返信の71.2%が深さ1、つまりスレッドへの直接の返信で止まっている。
だが、荒れてはいない
攻撃的な語を含む返信は1.2%しかない。「お前」「馬鹿」「黙れ」のような語を数えた結果だ。
マイナス評価の付く返信は0.6%になる。
悪口を言われないが、返事も来ない。荒れるというのは人と人がぶつかることで、ぶつかるには接触が要る。パークスでは接触そのものが起きていない。
2人の会話は成立する。3人目が入らない
ここが要になる。
書いた返信に返事が付く率:22.7%
その返事に、さらに返事が付く率:26.7%
AさんがBさんに返し、BさんもAさんに返した組の割合:43.0%
スレッドを立てた人が、来た返信に答えた割合:77.9%
一度返事が来たやりとりは続く。断絶が起きるのは最初の1回だ。
立てた人は答えているし、1対1の往復も4割成立している。
それでも71.2%が深さ1で止まる。スレッドあたりの話者は中央値3人で、
深さ3以上に届く返信は全体の6%しかない。
会話の単位が2人で固定されている。
4人に1人が、4分の3を書いている
最終週にも書いていたのは307人で、全話者1,265人の24.3%になる。
この307人が全返信の73.8%を書いている。
そして、その307人が書いた返信の71.7%は、同じ307人の誰かに向かう。外へ向かうのは28.3%だ。
外から見れば、いつも同じ人が話している場所に見えるだろう。
ただし、締め出してはいない
新しく来た人が最初に書いた1件に返事が付いたのは、1,265人のうち291人(23.0%)になる。 その返事の77.7%は、この307人がしたものだ。
さらに、初めて書いた1件目に返事が付く率は28.4%で、2回目以降(約13%)より高い。 新参のほうが返事をもらっている。
もしここが内輪なら、新顔の初回が無視され、常連同士の返信率が高くなるはずだ。 数字は逆を向いている。
書き方も違う。307人の返信は、相手に問いかける形が13.5%、名前を呼びかける形が4.5%ある。 ほかの人はそれぞれ9.0%と2.9%だ。返信の長さも57字に対して44字になる。 会話の作法を持っているのは、この307人のほうだ。
同時に、はてな由来の語彙を使う率も6.8%で、ほかの人の3.4%の倍になる。 はてなダイアリー、増田、人力検索といった語が説明なしで出る。 会話の作法と、内側でしか通じない語彙が、同じ人に乗っかっている。
場所によって、別のサービスになっている
パークごとに見ると、同じ場所とは思えない差が出る。
会話が起きているのは、ライフハック(返事が付く率44.3%)、キャリア(35.3%)、
創作(34.9%)、はてなパークス【非公式】(32.9%)だ。
起きていないのは、大喜利(5.6%)、実況(4.7%)、言葉遊び(3.7%)、無意味(2.1%)になる。
投稿量が最大のパークで、会話がいちばん起きていない。大喜利は2,946返信を集めて返事が付く率5.6%、返信の中央値は22字だ。
スレッドの種別でも同じ傾向が出る。雑談は16.0%、質問は24.8%、議論は23.8%になる。
ただし議論の形をとったスレッドは89本、全体の4.4%しかない。
人が減りながら、会話は濃くなっている
正式公開の週から5週間の推移はこうなる。
公開週:返信3,062件・話者639人・新顔520人・返事が付く率21.1%
2週目:2,862件・458人・153人・22.6%
3週目:2,470件・413人・99人・19.8%
4週目:2,533件・392人・75人・22.5%
5週目:2,114件・307人・30人・24.3%
話者は半減し、新顔は17分の1になった。そのあいだに返事が付く率は3.2ポイント上がり、深さ1で止まる率は5.5ポイント下がっている。
残った人たちの会話は良くなっている。そこに入ってくる人がいない。
残る人の割合は、いつ来たかで変わらない
ベータ期に来た人が23%、正式公開週が22%、4週目が23%、5週目が23%。
どの週も2割だけが残る。
何人来たかでも、いつ来たかでも変わらない。だとすれば、残らない理由は来た人の側にはない。
500人集めても100人しか残らないし、5,000人集めても1,000人しか残らないだろう。
なぜスケールしないと言えるのか
理由は3つある。どれも人数を増やしても動かない種類のものだ。
第一に、会話の単位が2人で固定されている。人が増えたとき会話が増えるのは、
ひとつの発言に複数が集まり、それを見た人がさらに加わるからだ。会話の単位が2人なら、会話の総量は参加者数に比例するだけで、それ以上には増えない。
人を集めても、一人ひとりが相手を1人探して終わる。
第二に、人が多い時期はもう見えている。公開週には639人が話していて、返事が付く率は21.1%だった。
5週目は307人で24.3%になる。人が2倍いたほうが低い。
人を増やせば会話が増える、という関係になっていない。
第三に、残る人の割合が、何人来ても2割で変わらない。人をたくさん呼んでも動かない。
なぜ残らないのか
ここからは推論になる。数字が直に言っていることではない。
2人の往復は1対1の関係であって、場への所属にはならない。誰か1人と話しただけでは、その場所に自分の居場所ができたことにはならないからだ。場に属している感じは、複数人の会話に加われたときに出る。それが起きていない以上、来た人は「返事はもらえたが、ここに居る理由はない」という状態で去ることになる。
足りないのは歓迎ではない。歓迎はされている。歓迎の次がない。
この読みが外れるとしたら
3人目が入る条件を見ていない。スレッドが画面にどう出るか、通知がどう飛ぶかで変わりうる。
設計を見れば別の説明が出るかもしれない。
5週間しか見ていない。半年後に深さ2以上が増えていれば、この読みは外れる。
お題返信型パークは別の成功している可能性がある。返事が付く率5.6%でも2,946件の投稿があった。
会話でない参加を数えない指標を使ったので、そこは測れていない。
予測
この場所が今後どうなるかをひとつだけ言うなら、話者数は300人前後で安定し、返事が付く率は25%前後まで上がるだろう。残った人同士の会話は今より良くなる。
新しく来る人は週30人のまま、2割が残る。
そのとき外から見えるのは「感じはいいが入りづらい場所」で、それは内輪ではないのに内輪と呼ばれる状態だ。