SNSに書くと、流れていく
TwitterやBluesky、Instagramに何かを投稿すると、それはタイムラインを流れていく。新しい投稿が来れば、古い投稿は下へ下へと押し流される。昨日書いたことを覚えている人は少ない。先週のことなんて、自分でさえ忘れている。
SNSは「今の自分」を発信し続ける場所だ。「元気です」「これ食べた」「こう思った」——自分が存在していることを確認するように、私たちは投稿を続ける。
でも、ふと思う。これって対話だろうか? 議論だろうか?
誰かの投稿に反応しても、その反応も流れていく。一週間前に何を話していたか、お互いに覚えていない。過去の文脈がないまま、また新しい「今」を投稿する。
論文は重すぎる、ブログは中途半端
じゃあ、ちゃんと残るものを書けばいいのか。
論文なら残る。引用され、参照され、何年も読まれる。でも論文を書くには審査があり、形式があり、ハードルが高い。思いついたことをさっと書ける場所ではない。
ブログはもう少し気軽だ。でもブログ記事は「そのとき思ったこと」として古びていく。一年前の記事を読み返すと、なんだか恥ずかしくなったりする。
SNSの投稿は軽すぎて流れる。論文は重すぎて書けない。ブログはその中間だけど、どっちつかず。
SNSでもブログでも論文でもない、何か別の「書くこと」のかたちはないだろうか?
時間の流れ方が違う
SNSの時間は「→」だ。矢印のように一方向に進んでいく。過去は後ろに消えて、常に「今」だけがある。
でも本当は、考えるということは、過去と未来が「今」に混ざり合うことだと思う。昔読んだ本、去年考えたこと、いつか書きたいと思っていたこと——そういうものが「今」書いている文章に染み込んでくる。
これを記号で書くと「…◯→」みたいな感じ。「…」の部分に過去が詰まっていて、それが「◯」(今)に浸透しながら、「→」(未来)に向かっていく。
SNSの「→」だけの時間では、この「…」の部分が抜け落ちてしまう。
繭(まゆ)という時間
二年前、私は「繭(cocoon)」という考え方を思いついた。
蚕が繭を作るように、考えを閉じ込める時間があっていい。外からは何も見えない。でも中では変化が起きている。幼虫が蝶になる準備をしているように、考えが熟成している。
繭の中の時間は、SNSのタイムラインとは違う。私の場合、Blueskyで一日の投稿をひとつのスレッドにまとめていた。投稿自体は公開されているけれど、スレッドという「糸」でゆるくつながれた断片たちは、まだ形になっていない。タイムラインを流れていきながらも、自分の中では繭のように何かを紡いでいる時間だった。
繭から飛び立つ(Flight)
でも、繭のままでは誰にも届かない。
どこかで繭を破って、外に出る必要がある。これが「羽化」だ。蝶が繭から出て飛び立つように、考えも外に出て、誰かに届くかたちになる。
私はこの「飛び立ったもの」を Flight(フライト) と呼びたい。
繭(Cocoon) → 羽化 → 飛翔(Flight)
閉じこもる時間 ↑ 開かれる時間
熟成する 変態 届けられる
Flightは、SNSの投稿とは違う。繭の時間を経ているから。ただの思いつきを垂れ流したものではなく、閉じた時間の中で変化を遂げたもの。
Flightは、論文とも違う。そこまで重くない。形式に縛られない。でも流れていかない。ちゃんとアドレス(URL)があって、後から参照できる。
実は、もうやっていた
こう書いてきて気づいたのだけど、私はすでにこれをやっていた。
Blueskyに連続して投稿する。断片的な考えを、思いつくままに書く。反応をもらったり、自分で読み返したりする。これが「繭」の時間。
それをあとで整理して、ブログにまとめて公開する。これが「Flight」への羽化。
新しいことを提案しているようで、実は「自分がやっていることに名前をつけた」だけだった。
同じようなことをしている人は多いと思う。SNSでメモ的に書いて、あとでブログやnoteにまとめる。その営みに「繭からFlightへ」という名前をつけてみたい。
Nightflight
そういえば、私のブログのタイトルは「Nightflight(夜間飛行)」だった。
夜に飛ぶ。見えない時間の中を進む。昼間の明るさ(SNSのタイムライン)とは違う、静かな移動。
Nightflight は「Nighthaven(夜の避難所)からのFlight」とも読める。避難所で休み、熟成し、そこから飛び立つ。
ブログにこの名前をつけたとき、今日の話を考えていたわけではない。でも、名前が先に、やりたいことを言い当てていたのかもしれない。
まとめ
SNSの時間は「→」。流れて、消えていく。
繭(Cocoon)の時間は閉じている。見えないところで熟成する。
飛翔(Flight)は、繭を経て外に出たもの。流れないけど、届く。
「繭からFlightへ」は、多くの人がすでにやっていること。それに名前をつけたい。
2026年1月1日