わたしはSpatial visualizerだ。Temple Grandinの分類で言う、パターンと抽象で考えるタイプのビジュアルシンカーになる。対象を関係性のモデルとして同時に把握する。この思考スタイルは観察の解像度を上げるが、文章にすると読者の認知負荷を上げる。
例を出す。GPTの画像生成について、わたしはこう書いた。
質感や文字列生成の精度は格段に向上している。ただ,本質的な部分における対象の造形の正確性や言語で描写できないどこか芯が揺らいだ感じは残っている。
この第2文には2つの判定が詰まっている。造形は不変だ。芯の揺らぎは残っている。2つの判定が一つの構造図に同居しているから、1文に押し込んでしまう。
修正後はこうなる。
質感や文字列生成の精度は格段に向上している。ただ,対象の造形の正確性は変わっていない。言語では指定しようのない,芯の揺らぎも残っている。
操作は3つ。順番が大事だ。
第一に、書く前に判定の数を数える。一つの構造図に何個の判定が含まれているかを、書き始める前にメモする。「①造形→ ②芯の揺らぎ→」のような走り書きで足りる。これが文の数になる。1判定1文。判定の数だけ文が立つ。
第二に、抽象的前置きを削る。「本質的な部分における」「〜という観点から」「〜に関して言えば」が出たら消す。前置きを書きたくなるのは、構造図として見えている関係性の全体を読者と共有しようとする本能だ。だが文章は線形だ。前置きは要らない。書いた直後に「における」「に関して」を検索すれば、9割は削れる。
第三に、補助動詞を切る。「〜してきている」「〜してみた」「〜になっている」が出たら、本動詞に戻す。アスペクトを重ねたくなるのは、状態の重なりが構造図に同時表示されていることの反映だ。だが読者には1つだけ渡す。
順番を守れ。第一の操作を先にやれ。文の数が決まれば、第二と第三は自然に効く。第一を飛ばして第二と第三だけやると、長い文が長いまま残る。
書き慣れたら第一だけでいい。判定の数を意識する癖がつけば、抽象的前置きも補助動詞の連なりも、自然に減る。
Spatial visualizerの思考は捨てなくていい。観察の解像度はそのまま残せ。捨てるのは、構造図をそのまま1文に写し取ろうとする衝動だけだ。